EnglishJapanese

やまねあやの先生から皆さんへのメッセージ!

2011年07月04日
やまね先生インタビュー

HOMEで見られる映像は、やまねあやの先生がカラーイラストを描く現場を2日間に渡り撮影し、Animate Girls Festival2010にて公開されたスペシャル映像を7分に凝縮したものです。公開直後から日本国内だけでなく海外からも大反響を呼びました。ペン入れ、着彩をしていく過程で、徐々にキャラクターに命が吹き込まれていきます。その制作過程をやまね先生にお聞きしてみました!

 

──1枚のカラーイラストのご執筆に8つ程の工程がありますが、簡単にご説明いただけますか?

【下絵(ラフ)】

一枚イラストにおいては構図がとても大切ですよね。どういうイラストにするのか、どういうメッセージを込めるのか。

一枚しかない絵だからこそ、そこからどんな情景やストーリーが思い浮かぶのかまで感じ取ってもらえるように、構図やキャラクターの表情を考えてます。

(例えばこの二人は今ヘリのサーチライトに追われて屋上に追いつめられた所…!とか、これから二人でフォーマルなパーティに向かう途中♪ シャンパンも飲んだりして♪ 等々)

ラフ画を何枚も描いて、気に入った構図にするまでに数日かかることも多いです(^^;下絵の段階でペンを入れるための線を決めておかないと後から失敗するので。

 

【下描き】

下絵が決まったら、カラーを描く紙に下絵を裏から貼ってライトテーブルで映して模写します。ところが光で透かしてなぞっても絶対に同じ絵にはならないのです…。

せっかく決めたキャラクターの表情がこの段階で微妙に変わってしまうので、紙を傷めないように下描きを微調整します。

私の使っている紙は柔らかくて毛羽立ちしやすいのでとても気を使います。痛んだ箇所にカラーインクを乗せると綺麗に仕上がらないからです。

努力の甲斐もなく毛羽立ってることもよくあります。ムキになる性格なので根つめてしまって、ろくなことになりません(^^;

この作業にだいたい半日ほどかかります。

 

【下塗り】

カラーインクで色を塗っていきます。まずは基本になる肌からです。気に入った肌色になるようにカラーインクを4、5色ほど混ぜて調合します。イエロー、オレンジ、ピンク、ブラウン系で混ぜていきます。

攻キャラは色黒系、受キャラは可愛く、気持ちピンク系に…。

色を塗る時はたっぷり水分を含ませて、塗りたい箇所に薄い色から入れていきます。水分をたっぷり入れるのはムラにならないようにインクをボカすためです。

髪の毛を塗る前に顔の中身を完成させます。

イラストの重要な部分が顔なので、ここが決まらないと先の作業に進めません(^^;

細かい顔のパーツは面相筆で。イラストの命がかかっているので神経を使う作業です。

 

【塗り重ね】

下地になる色を塗ったら、乾かないうちにすばやく影をつけていきます。影をつける時はどこから光が当たっているのかを決めて、影の向きがちぐはぐにならないように気をつけます。影が薄いと少女漫画的なやわらかい絵に、濃くつけると少年漫画的なはっきりとした絵になります。キャラクターに立体感を出す大事な作業です。

お肌や着ている服、小物など素材の異なるものは光の当たり方や影の出来方が違ってくるので、描き馴れないものを描く時は資料を見て、イメージを膨らませることも大切だと思います(例えば綿シャツとジーンズでは皺のより方や生地の厚みが全く違うし、黒い革のベルトは光の当たる部分が白く光ります)。特にジーパン塗る時は本物のジーパンを横に置いて塗ります。皺がとっても難しいので…。

 

【髪の毛】

顔の次に神経を使う箇所です。薄い色で天使の輪を作ったら、面相筆で一房づつ細かく髪の流れを入れていきます。髪の長いキャラがいると半日くらいかかって塗ってます。金髪や銀髪よりも黒髪の方が色が濃い分、手間と時間がかかります。髪を塗る作業は根気と気力体力を大量に消費します。塗り終わったらインターバルとらないと次に行けません(^^;

 

【彩色について】

肌→顔のパーツ→髪→服→背景の順に各部分ごとに完成させながら塗っていきます。基本的に薄い色が先で濃い色はあとから塗ります。逆にすると濃い色が薄い色の方に滲んでしまうからです。

背景を描く時はここからイラストをマスキング(注:色が重ならないよう、塗り終わったキャラクターの部分などにシートを貼ること)したりする作業に入ります。絵を傷つけないようにシートを貼らないといけないので粘着力の弱いものを丁寧に貼っていきます。

エアーブラシは機器のメンテナンスに手間がかかるので、正直とても面倒くさいです。でも背景に色が入ると、キャラクターが活き活きとしてくるのでこれも大切な作業だと思ってがんばってます。

ファインダー6巻の表紙イラストにはモデリングペーストとジェッソという盛り上げ剤を使いました。パソコンだと柄を入れるのは容易ですが、手描きだとすごく時間と手間がかかります。

背景も手描きならではの暖かみが出ればと思って、花やソファーなんかも描いてます。

最期にホワイトでハイライトを入れて完成。

 

──マンガを1話描くのに、構想から原稿UPまで、どのような工程があるのでしょうか?

まずプロットという、漫画のあらすじのようなものを考えます。ここでOKが出ないと次に進めません。

プロットが決まったら次にネームに入ります。ネームとはコマやセリフなどの構図とストーリーの流れを決める漫画の下敷き的なもの。

どうでもいい紙にへのへのもへじで漫画の細かい流れを決めます。この作業が一番脳細胞を消費します。精神的な悩みのほとんどがこの作業。

ネームが決まったらいよいよ漫画原稿用紙に下描きしていきます。下描きの時にネームで決めた構図を変えてしまうこともあります。

下描きができたらペン入れをしていきます。とても地道で肩の凝る作業です。私の場合1日にせいぜい5~6枚が限界です。ロン毛キャラやモンスターとかがいる場合もっと効率が悪くなります。

ペン入れが終わったら消しゴムをかけてベタ塗りをしていきます。消しゴムかけと背景画、背景のトーン貼りはアシスタントさんがやっています。布団や剣などの小物は自分で描くことも多いです。

エロスなシーンのトーン貼りも細かいスキルとか個性が要求されるので自分でやってます(笑)。

ホワイトを入れて完成。

 

──作品完成までには、何人くらいのアシスタントさんが必要なのでしょうか?

トーン貼りと背景でだいたい2、3人来てもらってます。

月産枚数の多い作家さんだともっと多いと聞きます。

アシスタントのお給料で原稿料がふっとびます。

私は月産が少ないので赤字になる月もあります。

 

──先生にとって登場するキャラクターはどんな存在ですか?

長く制作に携わっているシリーズのキャラはとても愛着があり、自分の子供のような存在です。

作品に人気があってもなくても、自分で生み出したものですからこれだけは変わりません。大切です。

 

──やまね先生、貴重なお話をうかがい、ありがとうございました!

とても具体的なお話でしたね。 

そしてどれだけの熱量で作品が生み出されているか、気が遠くなるような道筋です。

エネルギーはやがて読み手に伝わり、それぞれの人生に少なからず影響を及ぼすはずです。

やまね先生の制作秘話を思いながら作品を読んだ時、また違ったドラマが見えてくるような気がしますね!